うたかた


小指を絡めて

カタチが無いから
目に見えるようにするんだろう
誰にも見えないから
きっと僕等だけに見えるように

あのとき絡めていれば
何かが変わっていたのだろうか
あの日離れなければ
何かが違っていたのだろうか

二度とこの腕に抱き締めることも
優しさに触れることも
二人で笑い合うことさえ
出来なくなってしまったけれど


カタチがないから
姿あるものに
変えようとするのだろう
誰にも見えないから
誰にだって見えるように

約束も
思い出も
愛情でさえ

小指をからめて
アルバムにして
指輪を通して

何も変わらないかもしれない
何かが変わるかもしれない
小さな救いに
今は縋るしかなくて

カタチがなくても
目に見えなくても
この胸にあること
気付いているけれど

手を伸ばして
小指を絡めよう
今は証が欲しいから