うたかた


Repuiem

始まりはいつでも「初めまして」で

狭い部屋の隅で溢れた夢塗り潰した
真っ白けのキャンパスには
色を乗せて描き始めて
笑いながら君は泣いて
また笑って 理由なんて、
ガラスケースに押し込めた誰かの夢
鍵は失くしたの?

辛くなんてないよ
なんで辛くなれると思うの
何も持たないから
悲しみさえ要らないのにね

どうして抱き締めるの
傷は癒せないのに
どうして泣いているの
私は私なのに
どうして叫んでるの
声は届かないのに
どうしてキスをするの
何も残らないのに


色のない私はカリソメだって

息を吐き出しても涙なんて出てこないの
ひとつひとつ抱えていた儚いメモ解けていく
集め合わせ抱き締めても
知らぬうちに棄ててしまう
刻み込んだつもりなのに
明日はまた何も持たないの
怖くなんてないわ
手放すのは“私”だけだから
色を乗せた紙は私の手で燃やしてしまう

「さようなら」 私は今日でおしまい
おやすみの合図で消えていくの
「また明日」 忘れることも忘れて
怖いのは私じゃないのね今も

いつも知らないから不安なんて要らない
私は知らないまま夜に呑み込まれてく
ひとりで知らないまま夢を探す夢見て
何にも知らないまま繰り返す「初めまして」

夜は来て私を忘れていくの
始まりはいつでも「初めまして」で